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高校生BOXER NoRule-DEATHMATCH (2)致命的な油断あ・・・が・・・
息が・・・息ができない
腹が痛くて、脚に力が、入らない
たった1発なのに、こんな・・・早く、立ち、上がらないと・・・
ダウンしてから30秒。 通常のボクシングの試合ならとっくに敗北を喫してしまう程の時間。上村はまだ立ち上がれない。
上村の呼吸は弱いながらもようやく復活の兆し。
脚に少しずつ力を入れる。
仰向けの状態から両手、両脚をマットにゆっくりと突き立てて、まずは四つん這いの体勢を取る。
ここで一旦静止。
大きく息を吸い、呼吸を更に整える。
少し落ち着きを取り戻した上村の視界に、マットに転がっていたマウスピースが見えた。
拾い上げ、口腔内へ押し込むと、マウスピースの感触にブレていた意識が奮い立つ。
四つん這いの状態から、次の動作に向けて再び大きく息を吸った。
まだダメージは尾を引いていると見えて、上村の両腕・両脚は、まるで生まれたばかりの子鹿のようにプルプルと震えている。
上村がゆっくりと立ち上がろうとしたその瞬間、ゴムとリングの床が激しく擦れ合うキュキュキュッという摩擦音!
本條「なんでもアリ、デスマッチルールの試合の最中にそんな無防備晒して
・・・センパイ、もしかしてバカっすか??」
反対側のコーナーから本條が一気に走り込みながら、四つん這い状態でガラ空きとなっている上村の土手っ腹目掛けて大きく右足を振りかぶった。そしてそのまま躊躇無く思いっきり足を振り抜く。
鋭いサッカーボールキック!!ダウン中の攻撃など全く想定外。完全に油断をしきっていた上村は為す術が無い。本條の強烈な右のキックが、上村の腹を真下から蹴り上げた!
ボッゴォッッ!!助走の勢いも手伝って、蹴りの威力は強烈だった。
思いっ切り振り切られたキックで、上村の体は、文字通りサッカーボールのように激しく蹴り上げられ、回転を付けて吹っ飛ばされる。
高く蹴り上げられた上村の体は、最上段4段目のリングロープも易々と越え、回転をしながらリング場外へ!!遙か向こうの床面に、全身を強く打ちつけながら落下!
硬い木製の床に上村の肉体が衝突した衝撃で、大量に積もった長年の埃が一気に室内に舞い上がる。
埃のせいで噎せ返るように咳き込み、時折くぐもった声で呻きを上げながら、埃の中に上村が再びダウンを喫した。
蹴りをまともに喰らってしまった上村のダメージはさっきの比では無い。
30秒・・・1分
まだ立ち上がるどころか体を起すことすらできていない。
天才ボクサーと騒がれた男がこれほどにまで苦しんでいる!
ズザッ今度はリング外の床材とリングシューズの底が擦れる音。
苦痛と闘う上村に、本條がゆっくりと近付いて来る。本條の口元は明らかにニヤついている。
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高校生BOXER NoRule-DEATHMATCH (4)次回予告
一気に形勢不利となった上村は、状況をどうにか打開しようと必死に抵抗をする。
しかし、本條はその上村の抵抗を残忍な手段で叩き潰す。
その結果、さらに追い込まれた上村が形勢逆転を期して取った戦略とは?
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