上村健太
164cm 50.8kg
フライ級ボクサー



本條拓馬
175cm 61.2kg
ライト級ボクサー

---

試合開始早々、完全攻撃型で前に出る本條に対して、体格的に不利な上村は序盤様子見、隙を突いたカウンターを狙う作戦を取り、まずはディフェンスを固めた。

が、お構いなく襲いかかる本條拓馬の強烈なフックが上村健太のガードを圧倒的なパワーで大きく弾き飛ばした。
上村は右に大きく流された両腕を引き戻してガードを回復させようとするが、それを上回る本條の攻撃。

ガードが間に合っていない上村のボディに、本條の全力のストレートがズドンと突き刺さった。

思わず体を前のめりに折り、腰をガクンと落とす上村！

10kgもの体重差。その本條の全力は、上村がこれまでに喰らったボディ・ブローの何倍も重い、未経験の衝撃だ。

上村は両足を肩幅以上に広げて必死で踏ん張り、どうにかダウンだけは堪えた。が、そんなギリギリの状態の上村を、本條が看過するはずがない。

本條「ボディが、ガラ空きだ、ぜッ！！」

スッと重心を落としたかと思うと、本條は両脚の強靱なバネを一気に解放。前屈みになっていた上村の腹に、下から突き上げる強烈なボディ・アッパー。

視界の外から突然飛び込んで来た拳に、上村は対応できない！

ドボッ！！

本條の拳は腹に深々と突き刺さり、それでも威力が死なない拳はそのまま上村の体を上へと持ち上げる！

足先が完全に浮き上がるほどに持ち上げられ、拳が突き刺された腹を中心に体をへし折られるようにして上村健太の体は空中で静止した。

拳が深々と埋まってしまった上村の腹。その拳の圧力に押し出されるように、上村は口からマウスピースを力無く吐き出した。吐き出されたマウスピースは、唾液の糸に絡まってリングのマットへ落下した。

強烈なボディ・ブロウの餌食になった上村は、本條の拳によって観衆の面前に高く掲げられ、屈辱の醜態をさらす。半開きの上村の口からは、マットに転がり落ちたマウスピースに向かってヨダレが何本もの糸となって垂れ落ち続けている。

打撃でマットに倒れるでもなく、レフェリーによるスタンディング・ダウンでもない。こんなダウン状態を、かつて見たことは無い。


やがて本條は、拳を一気に高く突き上げた。拳の上に乗せられていた上村の体が、その勢いで上空に高く跳ね上げられる。

2mもの高さに達した上村は、そのままうつ伏せの状態で落下に転じる。受け身を取ることすらままならず、上村はマットに全身を強く打ちつけるように落下。


レフェリーがダウン宣告と共に上村に駆け寄るが、上村の様子を見た次の瞬間、両手を高く上げて交差するように左右に大きく振った。

ゴングが何度も打ち鳴らされ、試合終了が告げられた。

試合時間、1R1分15秒。圧倒的な力の差で試合は決着した。